「備蓄米が突然市場に広がって、流通に混乱はないの?」こんな疑問の声が全国で上がる中、広島拠点のコメ卸売業者・『食協』が連日フル稼働で話題に。政府が備蓄米を放出することで、JAなど集荷業者を含め卸業者全体の流通機能が改めて注目された。この記事では、精米現場や流通システムの「今」を解説する。
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「食協」とは?
食協は広島市南区に本社を置き、東広島市に最新鋭の精米工場を有する総合食料卸企業。米穀を中心に食品、燃料、電力、水など多角的に事業を展開している。
- 創業:1950年(広島食料協同組合)
- 事業開始:1951年〜
- 法人化:1991年に広島食糧協同組合が全額出資し「食協株式会社」設立
- 所在地:広島県広島市南区松川町5-9
- 代表取締役社長:武信和也
- 資本金:1億円
- 売上高:約275億円(2025年3月期)
- 従業員数:180名(2025年4月1日現在)
- 主要取引銀行:広島銀行(皆実町支店)・商工組合中央金庫(広島支店)
- 主要施設:志和精米工場・志和流通センター・西部販売所・東広島販売所・可部販売所
- 主な事業領域
- 米穀事業(仕入・精米・販売)
- 食品原料卸
- LPガス販売
- 宅配水サービス
- その他、地域インフラ型サービス
主に中四国エリア全域をカバーしており、米穀以外に「小麦粉」「食用油」なども多角的に扱う。
また、別会社で「アクアクララ」という宅配水事業も手掛ける。
「志和精米工場」と先端設備

- 2022年、新たに東広島市志和町に設立された「志和精米工場」は、サタケ製最新鋭精米プラント導入で最大毎時30トンの処理能力を実現 。
- 太陽光パネルによる自社発電やHACCP、精米JASなど高い品質管理認証を取得。お米マイスター全国最多保有や商品開発研修制度など、技術・人材力も高い評価を受けている。
日本最大級の精米工場の“規模”と“技術力”
志和精米工場は、備蓄米流通に敏速に対応できる処理能力と技術を備えている。今回のフル稼働は、その性能が問われる場となった。
稼働能力の背景と進化
- 通常は1時間あたり30トン、数千トン単位の備蓄米ストックにも対応。
- フル稼働の検討は、政府からの緊急要請にも即応できる流通バックボーンを保持している証しとも 。
品質確保と販売戦略
- 真空包装・温湿度管理などで、お手頃価格の備蓄米でも“美味しさ”を維持 。
- 地元産米とのブレンド試験や機能性表示米など新商品開発にも取り組み、広島の顔としての役割も担う。
卸業者の必要性は?
卸売業者の価値は、単なる精米ではなく「ネットワーク」「品質管理」「供給安定」など多方面。それを、JAと卸全体で俯瞰してみる。
必要論① ネットワークと供給能力
- 食協のような卸業者は、小売や外食など精米設備を持たない業者へ一括供給が可能。JAの集荷を受け、全国に配送網を展開できる 。
- 食協ロジスティックスなど専用物流子会社の新設など、備蓄米対応力も高まっている。
必要論② 品質技術と市場信頼
- HACCP・精米JAS・お米マイスターなど品質を保証できる体制。企業・消費者からの信頼構築に不可欠。
- JAも含む卸全体が連携することで、「集荷・精米・配送」が円滑に回る大規模物流網が成立している状況。
不要論① コスト構造の非効率・不透明性
品薄のはずのコメが突然店頭に山積み! 卸業者が在庫抱えて価格吊り上げ画策も、備蓄米放出&新米期で価格下落の兆し!
— 宮澤こはる (@miyazawakoharu9) June 6, 2025
やっぱり価格操作してたんじゃねーか! 小泉農相の劇場でごまかす気?日本の米を守れよ!#品薄のはずのコメ pic.twitter.com/Un343MXUNM
- 卸が介在すると中間マージンが発生し、価格に反映されやすいと批判も 。
- 小規模小売や消費者直売の広がりで、「精米→直売」で中抜きを志向する潮流も増加中。
不要論② 需要・供給面の疑惑
お米品薄のはずが→突然店頭に
— 断捨離中 (@5mj8511) June 4, 2025
ネットで報告相次ぐとのこと↓
「不備蓄米が出始めたらいきなりブランド米が出てきた」
「米の棚がガラガラだったのが、いきなり増えててびっくり」
「おかしいやろ」
「いきなりスーパーの米在庫が大量に復活」
コメの最大手の卸業者、最高益で二十八億円ですか↓ pic.twitter.com/OMO3SfwNkL
毎週、品切れだったオーケーの米売り場。びっしり銘柄米が。値段はあまり変わらないが一部は値段も4,000円を切ってる。備蓄米が並ぶ前に出してきたんですね。やはり卸業者か店舗倉庫にあったんだ。 pic.twitter.com/rcwu7vfZ8l
— Kamome Jonasan (@kamomejonasan) May 31, 2025
- 精米・販売機能を強化すれば、JAや卸業者の役割は薄れる可能性も指摘。
- 一方で、中央買付・政府備蓄対応能力では卸の強みが見直されており、補完関係が模索されている。
まとめ
- 食協の企業力:70年以上の歴史と多角展開、最新精米工場による“備蓄米含めた精米対応”
- 卸業者の価値:ネットワーク力・品質管理・物流機能は、インフラとしての生命線
- JA・卸業者の不要論:販売価格・供給性が不透明で他疑惑も多い
- 制度改革の行方:「価格修正」「表示義務化」「流通改革」によって、卸・JA・直販のバランスが変わる可能性あり
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